記憶の備忘録

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転換期の日本へ 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か(ジョン・W・ダワー,ガバン・マコーマック,著)

 

転換期の日本へ 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か (NHK出版新書)

転換期の日本へ 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か (NHK出版新書)

 

 

本書は、転換期を迎える日本が、特に外交で取るべき選択肢を、戦後からサンフランシスコ体制下に移行する流れを追いながら、整理・議論していくものである。

戦後の現代史は興味は持っていたものの、ほとんど出来事を暗記しているだけであった。すなわち、その意味、選ばなかった可能性、その結論に至ったプロセスなどは理解していなかった。したがって、現代において、特に外交に関する諸問題が起きた時には自分の中での明確な意見もなく感情的に反応していたところがあった。

 本書を読んで、サンフランシスコ講和条約に隠されたものについて、少し理解が進んだ。サンフランシスコ講和条約について、中国は署名していないことも知らなかったし、尖閣諸島の問題において、日本が国有化したことの意味と中国の反発についても初めて意味がわかった。

 

ジョン・ダワー氏は以下の論点について簡潔に解説している。

1.沖縄と「二つの日本」

2.未解決の領土問題

3.米軍基地

4.再軍備

5.歴史問題 

6.核の傘 

7.中国と日本の脱亜

8.従属的独立 

■日本の選択肢

現在までに、アジア共同体については二つの基本計画が存在してきました。一つは米国指向で、サンフランシスコ体制の枠内でまとまる構想です。もう一つはアジア指向で、ポスト・サンフランシスコ体制の枠組みでまとまる構想です。二つを分かつのは、「米国歓迎型」(前者)か「米国排除型」(後者)かという点です。

 昨今の朝鮮半島の状況も踏まえながら、アジアにおいて、日本がどのような道を選んでいくのか改めて考えたいきたいと思う。