記憶の備忘録

日々を綴ります

NHK「100分de名著」ブックス ドラッカー マネジメント(上田惇生,著)

 

NHK「100分de名著」ブックス ドラッカー マネジメント

NHK「100分de名著」ブックス ドラッカー マネジメント

 

非常によくまとまっており、ドラッカーのマネジメントについて初めて触れる人が概要を掴むには、有用である。巻末にドラッカー著作の紹介も掲載されているので、本書を読んで特に興味を持ったところがあれば、実際に手をとってみるのが良いかと思う。ほとんどの翻訳をされてきた上田氏の編集が光る。

 

以下、簡単なまとめ。

■前提となる考え方

ドラッカーのマネジメント論をひと言でいえば「人と人とが成果をあげるために工夫すること」。根底に「人間の本当の幸せとは何か?」という大きな命題がある。それをふまえた上で、よりよい社会をつくっていくための組織、企業のあり方について書かれたのが『マネジメント』

ドラッカーは「会社は社会の公器である」と語る。「会社とは社会から人材や資源をあずかり、社会に必要とされるものを提供する役割を果たすものである」

・マネージャーにもっとも必要とされるのは才能ではなく、「 真摯 さ(integrity)」

■マネジメントの役割

1.自らの組織に特有の使命を果たす

2.仕事を通じて働く人たちを生かす

3.社会の問題について貢献する

■働く人にとって良い組織であるかのモノサシ

1.あなたは、会社で敬意を払われていますか?

2.あなたが仕事上の能力をつけようと思って、勉強しようと考えたり、自己啓発に励もうとした際に、会社は応援してくれますか?

3.あなたが会社に貢献していることを、会社は知っていますか?

※CSとESの両立が大切であるし、必ずできる

■企業を評価するモノサシ・目標

企業の目的の定義はただひとつ「顧客を創造すること」。顧客の創造とは、お客に求められているものを創造すること。すなわち、お客の潜在意識のなかには需要があるのにまだ商品やサービスとして形になっていないものを提供すること

1.マーケティング(市場シェア)

2.イノベーション(下記の7つの機会を見つける)

3.経営資源

4.生産性

5.社会的責任

※「利益」は目標ではない。

イノベーションの機会

1.予期せぬ成功と予期せぬ失敗:

2.ギャップ:

3.ニーズ:今までにないものが必要になったとき
4.産業構造の変化:
5.人口の変化:
6.認識の変化:
7.発明・発見:

■マネージャーに必要なスキル

1.意思決定:「決めること」だけではなく、「問題を明確にすること」が重要

2.コミュニケーション:受け手を動かせるか。また、自己目標管理が大切。

3.管理:適切に、仕事の成果を測定し、目標への進捗を検証し、問題点があれば修正する。成果とは無関係の事柄を測定しない。〝いかに〟管理するかではなく、〝なにを〟管理するかが重要

4.経営科学:科学的なデータや手法によって経営を行なうスキル

■成果をあげる為に必要なこと

1.時間管理:何に自分の時間がとられているかを知り、時間を体系的に管理する。やる必要のない仕事や、成果に結びつかない仕事は切り捨てる。人にまかせていい仕事は部下や外注にまかせる。時間は大きなかたまりで使えるように調節する。

2.貢献:外の世界に対する貢献に焦点をあわせる。会社から言われた仕事をこなすだけではなく、自分の仕事が社会とどう関わっているのかを考える

3.強み:自分の持っている強み、得意なことを伸ばしてフルに使う自分の強みを発見し、それを仕事の基盤にする。

4.集中:際立った成果をあげられる領域に力を集中させる。そのためには、仕事に優先順位をつける

5.意思決定:上記参考

■知識社会への変化と必要な作法

・知識を中心とする社会に移行するにしたがって、企業には「継続」ではなく「変化」が求められるようになってきました。知識というのは、どんどん古びていきますから、常に企業も人もマネジメントも、「変化」し続けることが必要になってきたのです。

・彼はポストモダンを生きるためには、以下の七つの作法が有効であると語っています。

1.見る:個別だけではなく、全体

2.分かったものを使う:すでに起こった未来

3.基本と原則を使う

4.欠けたものを探す:ギャップを見つける

5.自らを陳腐化させる

6.仕掛けをつくる:達成すべき目標を定める

7.モダンの手法を使う:論理と分析←観察と知覚