記憶の備忘録

日々を綴ります

【村上龍】最後の家族

最後の家族

最後の家族

村上龍の中でもかなり好きな作品です。
鳥肌がたったところを一部紹介します。


「下働きのときは、面白くないんだよ。もういやになるくらい単調な仕事なんだよ。そういうのばっかり続くと、誰だってもう辞めようかと思うよ。思わないやつは、人間じゃないよ。ただ、もう辞めようかなじゃなくて、誰かがぼくを辞めさせようとしてるって思うと、意味が違うでしょ」
「辞める、っていうのと、誰かがおれを辞めさせようとしてる、って全然違うでしょ。辞めようかなっていうのは、自分が一度選んだことだっていうのが、曖昧になってしまうんだよね。別に最初からそんなにやりたいわけじゃなかったし、って思えるんだよ。単調な仕事に飽きて、いやになったときに、どう思うかだよ。自分はこの仕事をやりたい。でも誰かがぼくを辞めさせようとしている。そう思うようにしたら考えが変わったんだ」