新版 はじめての課長の教科書(酒井穣,著)
本書の特徴は、こういった課長向けマネジメント向けの書籍にも関わらず、かなり実務に活かせることが書いてあるという点である。「課長」と言っても、色々な業種・業態・規模があるので、抽象度が高い解説になりがちであるが、日々の悩みや課題にある程度即効性のある章立てになっていると感じた(例えば、部下へのフィードバックの仕方、予算編成での注意点など)。対象としては、ベテランよりは課長になりたての方が合っているように思う。
以下、引用によるまとめ。
・顧客第一主義という共通の価値観で人を束ねる
・フィードバック:褒めるのはみんなの前で、叱るのは個別に。まずはきちんと事実を確認することを忘れない。
・ルーティンワークをの大切さ。「格下の退屈な仕事であるかのように考えることはまちがい」・スキル「悪い情報」がどれほど素早く部下からあがってくるかが死活問題。何も伝えなければ部下のモチベーションは自然に低下して行くものである。
組織構造
・事業領域による違い。基本はピラミッドとして考える
・野中先生の経営のビジョンと現場の情報の結節点。ミドルアップダウンで組織を動かす
部下のモチベーションを高めることが何より大切。そのための、フロー体験。
1.やることの目的と価値が明確になっている
2.活動を自分でコントロールできる
3.活動の難易度がちょうど良い
4.活動中に邪魔が入らない
5.活動の最中、その成功と失敗が明確になる
そのほか、実践的なアドバイス
・MBWA=management by wadering around=自分から情報を取りに行く
・部下を守る、
・フォローしてくれる仲間を持っておく。自己主張はする、ただし、それはリスクをとってることを認識しておく。かわいげが自分を助ける時もある。
・ティッピングポイントリーダーシップを発揮
・「前の会社では〜」とは言わない・自分の「失敗パターン」を分析せよ
最後に、著者の人間への愛を感じる。私も、人は機械でも機能でもないと思う。